Atelier / Showroom

改装前に考えたことなど

改装前
引っ越してきてすぐの頃の写真で、わりと片付いていますが、
改装直前はこんなにさっぱりはしておらず、かなりごちゃごちゃしていました。

きっかけとしてのイタリア旅行

きっかけは2013年秋のイタリア・ギリシャ旅行でした。イタリアでは、工房とお店を併設しているところが日本よりもずっと多い印象でした。ここここです。フィレンツェで有名な伝統の革工芸をやっているTADDEIさんのところもそうでした。
フィレンツェでいくつかの工房を見て、イメージがわきやすくなりました。これまで、自分の工房は本当に散らかっていて、そんな場所にお客さんを入れるなんて考えられないことでした。イタリアの工房は狭くてもきちんと片付いていたし、商品もきれいに飾ってありました。
ああいう風にやれば良いんだ!長年、工房にこもってメーカーの下請けの製造業をやってきて、考えが凝り固まってしまった自分にとって、旅先で実際に「見る」「聞く」「話す」という体験はほんとうに重要でした。
フィレンツェのバッグ工房
アリシアの工房

千住へのこだわり

自分の生まれ育った町である、千住へのこだわりがありました。千住は、宿場町として昔から栄えていた歴史があり、古くて立派な建物もありますし、川の近くということで産業も発達していたのです。
とても気に入っている町ですから、千住で工房とお店の両方ができる物件を探しました。今流行の、古民家を改造したアトリエ兼ショールームなんてかっこいいなあと半分夢見ながら、かなりの物件を見ましたが、条件にあうものが見つかりませんでした。
北千住は最近、駅前の開発もさかんですし、地価も上がっていますが、不動産屋ばかりたくさんあって、物件の量もバリエーションも全然ありません。町を歩いていると、ここは空き家のようだし場所も良いなあと思う物件は結構あるのですが、不動産屋に聞いてみても、借りることができるとは限らないのですよね。物件探しが徒労に終わり、すこしがっかりしましたが、今の工房で、まずははじめてみることにしたのです。
改装前
宿場町通り。右手に見えるのは古くからある絵馬屋さんです。
改装前
千住の新旧の建物を背景に、神輿。
祭りも盛り上がります。
改装前
荒川の土手で散歩すると気持ちがいい!

賃貸の普通の民家を、自分たちの手で改装することに

今の住居が気に入っていた、ということもあります。住み心地も良いし、豪華ではありませんが、丁寧に工夫されてつくられた良い家なのです。
賃貸の普通の民家なので、大きな改造はできません。現状復帰することが絶対条件です。
駅から遠いし、住宅地のど真ん中ですし、派手な改装はできない。そもそも資金もそんなにはない。
この条件で出来ることをはじめよう、ということになりました。
30年以上、製造業しかやってこなかった自分にしたら、どういうお店にしたらいいのか、理想を思い描くのも難しい状態でした。
まずはショーウィンドウをつくろう。玄関は、お客さんが入りやすく変えよう。土足にしよう。工房自体も、使いやすく改装しよう。ぽつぽつとあるアイデアをまとめて、工務店にかけあってみました。
設計内容も、見積もりの金額も、納得のいくものではありませんでした。自分たちで考えながら作った方が良くなるんじゃないか?試しに、一番の難関の、ショーウィンドウの設計を自分たちでしてみたら、なんだかいけそうな気がしてきたので、施工も自分たちでやることにしたのです。
改装前
古くも新しくもない、普通の民家。
ご近所も良い人ばかりで、住み心地はとても良いのです。
改装前
ここがお店になるなんて考えられなかったなあ。
(2014/11/29)