計画もなく、行き当たりばったりで、縫ってみて、もっとこうしたら良くなるぞと気づいて、ほどいて、直して、また形を検証して直して、ほとんど出来上がったところで、しょってみると、山下清を彷彿とさせる巨大な三角リュックになっていました。内心で「かっこいいとは言えないな」と思っていたところ「機内持ち込みの寸法をオーバーしている!」ということに気づき、大慌てでまたほどいて底板を小さく直し、もう一度作り直してみると「さっきよりもずっと形が良くなった!」。ほんとうに行き当たりばったりでしたが、出発前日になんとか完成しました。
最近気に入っている真田紐をポイントにしています。リュックは、背とショルダーのところが肝要です。普段、たくさんの荷物を入れるためのリュックは作らないので、その部分は市販のリュックサックを参考にしました。娘がL.L.Beanで購入したリュックサックですが、これが素晴らしい作りで、見れば見るほど感服しました。機能も充実していますが、縫製もかなりしっかりしていますし、縫いにくそうな複雑な部分もきれいに仕上がっています。ヴェトナム製でした。どういう設備でつくられたのかわかりませんが、腕の良い職人さんの仕事です。そのリュックサックのショルダーを参考に、ナイロンの代わりに茶の牛革でつくると、とても安定した背負い心地になりました。
わたしはイタリア語はおろか、英語も話せません。旅先で知り合った人に、もしも自分のことを話すことがあったときのことを考えると心細いので、渡邊鞄のパンフレットを作っていきました。「こんなの見せる機会あるかなあ」と思っていましたが、フィレンツェでは工房、アテネではバッグデザイナーの方に渡すことができ、写真を見ながらコミュニケーション出来たので良かったです。また、市松模様のボディーバッグと、ネイビーの帆布のリュックサックも身につけていたので、なにより実物を見せて、反応を得ることが出来たのが良かったです。そのことは、
工房1、
工房2に書きます。