出発前

海外旅行は20年以上ぶりで、準備するだけで大わらわでした。
旅行のことで頭がいっぱいになると、本業の鞄作りのことはそっちのけになってしまい、気持ちも行動もふわふわしてましたが、同行する娘にハッパをかけられ、旅行用に鞄をつくることにしました。しかし、一度気持ちが離れてしまうとなかなか気が乗らず、制作に本腰をいれるまでひじょうに時間がかかってしまいました。
以前別の仕事で使ったカーキ色の防水帆布と、これもまた別の仕事の残りのオリーブグリーンの牛革で作り始めました。余った材料がギリギリの量しかなく、はぎ合わせてなんとか作っていきました。
リュック制作中
とりあえず制作開始
計画もなく、行き当たりばったりで、縫ってみて、もっとこうしたら良くなるぞと気づいて、ほどいて、直して、また形を検証して直して、ほとんど出来上がったところで、しょってみると、山下清を彷彿とさせる巨大な三角リュックになっていました。内心で「かっこいいとは言えないな」と思っていたところ「機内持ち込みの寸法をオーバーしている!」ということに気づき、大慌てでまたほどいて底板を小さく直し、もう一度作り直してみると「さっきよりもずっと形が良くなった!」。ほんとうに行き当たりばったりでしたが、出発前日になんとか完成しました。
完成したリュック
完成!
最近気に入っている真田紐をポイントにしています。リュックは、背とショルダーのところが肝要です。普段、たくさんの荷物を入れるためのリュックは作らないので、その部分は市販のリュックサックを参考にしました。娘がL.L.Beanで購入したリュックサックですが、これが素晴らしい作りで、見れば見るほど感服しました。機能も充実していますが、縫製もかなりしっかりしていますし、縫いにくそうな複雑な部分もきれいに仕上がっています。ヴェトナム製でした。どういう設備でつくられたのかわかりませんが、腕の良い職人さんの仕事です。そのリュックサックのショルダーを参考に、ナイロンの代わりに茶の牛革でつくると、とても安定した背負い心地になりました。
ショルダー
ショルダーの背負い心地はかなり良し
L.L.bean
手前が、参考にしたL.L.beanのリュック
今回のリュック作りで使ったオリーブグリーンの防水帆布は薄くて軽く、丈夫で、グリーンの革との合わせが良かったので、この帆布を使って新作を考えたいと思っています。
成田空港にて
成田空港にて 出発前
Firenzeにて
お土産をぎゅうぎゅうに詰めて、帰りはこんな様子になっていました
わたしはイタリア語はおろか、英語も話せません。旅先で知り合った人に、もしも自分のことを話すことがあったときのことを考えると心細いので、渡邊鞄のパンフレットを作っていきました。「こんなの見せる機会あるかなあ」と思っていましたが、フィレンツェでは工房、アテネではバッグデザイナーの方に渡すことができ、写真を見ながらコミュニケーション出来たので良かったです。また、市松模様のボディーバッグと、ネイビーの帆布のリュックサックも身につけていたので、なにより実物を見せて、反応を得ることが出来たのが良かったです。そのことは、工房1工房2に書きます。
Panflet
Panflet