フィレンツェの工房2
ALI FIRENZE LABORATORIO

ポンテベッキオ橋の向こうにも工房があるという情報を聞き、出かけました。
もともとは別の工房を探していたのですが、見つけられず、偶然見つけたこの工房に飛び込んでみました。すると、すごく嬉しい出会いがありました。
Entrance
冬だから閉め切ってるそうで、夏は解放されているとのこと。
入ってみると、右側には鞄がきれいに陳列され、左側にはミシンが置かれた作業スペースになっている、密度の濃い空間がありました。ミシンの前から立ち上がったAlicia Ivanaさんが、笑顔で出迎えてくれました。自己紹介をしてパンフレットを渡しました。Aliciaさんはとっても喜んで、可愛らしい高い声で色々話してくれますが、全部イタリア語です。わたしも英語・イタリア語両方駄目ですが、Aliciaさんも英語がほぼ話せないようでした。わたしと同じくらいの英語だったかな…。 店内を一通り見せてもらいました。Aliciaさんの鞄は作りが良く、プロの仕事という感じでした。何より、良い革をつかっています。
Alicia bags
この鞄の良さが写真で伝わるか不安ですが、良い鞄です。
Alicia bags
すごく良い革が使われているの、わかりますか?
Alicia bags
作業スペースと鞄のディスプレイが調和しています。わたしのショールーム作りの参考にしたいです。
大学生の娘さんが仕事を手伝っているようで、娘さんがつくったビーズのレースを組み合わせた華やかなバッグもありました。ロゴマークに、娘さんが小さい頃に書いた絵を使っているところは、前回訪ねたご夫婦の工房と一緒です。イタリアで気づいたことのひとつは、家族経営のお店が多いということです。カフェやレストランでも家族でやっているらしいところを多く見かけました。イタリアにカトリックの精神が根付いていることの表れと聞きましたが、やはりそうなんでしょうか。
Alicia
商品や制作のことや店のつくりについて、一生懸命にイタリア語で説明してくれるAliciaさん。
AliciaさんにBella/Belloという言葉を教えてもらいました。「美しい」という意味で、男性名詞と女性名詞で使い分けるということも初めて知りました。Aliciaさんの鞄はBella borsaでした。
それから、「ゴマピウーマ」という単語も覚えました。意味は「圧縮スポンジ」。鞄作りについてのやりとりは、通じないなりに、身振り手振りで会話(?)がはずみました。
あと、「YKK」はイタリア語の発音で「イーカーカー」。「ファスナーはYKKじゃないの?」と聞くと、「イタリア製の方が良いので、YKKは使わない」と言っていました。わたしは、YKKのファスナーが良いと思っていますが…。
裏地
Aliciaさんの鞄に使われている裏地。アンティークの生地を使っているそうです。
渡邊鞄も裏地はグリーンなので、共通点のように感じました。
隣の焼き印も、真似してみようかなあなんて思いました。
walls
1時間ほどお邪魔していました。Aliciaさんは、本当に、キュートで魅力的な人でした。お仕事中にも関わらず、作業を中断してずっと相手をしてくれていました。名残惜しいような気持ちで、お店を出ました。
手作りのミシン台
使わないときは外せるようになっている木の台は、ご自分でつくられたそうで、感心しました。
次の日、もう一度ポンテベッキオ橋の向こうまで出かけました。方向音痴のわたしが、昨日偶然に見つけた工房にもう一度辿り着けるか、淡い期待をもってぶらぶら歩いていると、なんと、見つけることができました。日曜日だし、やっているか不安に思いながらもベルを押すと、Aliciaさんが笑顔で出てきてくれました。再会!うれしい!
お互いたどたどしい英語で話していると、Aliciaさんと同い年だということがわかりました。わかった瞬間、二人で大騒ぎ。言葉が不自由で難儀していると、ちょっとしたことでもわかり合うとすごく嬉しくなってしまいます。でも言葉が不自由なわりには、通じ合えた気がするのが、不思議です。普段、同じような仕事をしているせい、というのはある気がします。Aliciaさんとの出会いはなんだか嬉しいものでした。
ALI FIRENZE LABORATIRIOのウェブサイト
two shot